顕微鏡撮影(カメラを接眼レンズに密着させる)
2012.11.16 修正
「顕微鏡撮影」というキーワードでインターネット検索すると、接眼レンズにカメラを密着させるとよいと書かれたホームページがたくさん見つかります。そこには、カメラとしては、接眼レンズの口径より小さい口径を持ったコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)が適当で、ズームがあり、画素数がそこそこあるものが挙げられています。実際に、小さなコンデジを実体顕微鏡の接眼レンズに密着させて撮影してみると、手持ちでも結構うまく撮影できます(ブログ参照)。 でも、明るさをきちんと調節したい、焦点をばっちり合わせたい、焦点深度を深くしたいなどの欲がだんだん出てきます。手持ちではうまくいかないので、三脚で固定してみたのですが、小さいコンデジでは自動焦点を使っているので、思ったところにはフォーカスが合わせられないし、明るさも自動になっていて自由度がありません。 そこで、ホームページに書かれた方法には反しますが、デジタル一眼レフを取り付けてみることにしました。いろいろなレンズを試してみると、口径は接眼レンズの口径よりははるかに大きいのですが、広角系のズームだと結構うまく撮れることが分かりました(ブログ参照)。しかし、焦点深度を深くしようと絞りを絞ってみるとまるでうまくいかないし、また、接眼レンズから出てくる光は、レンズを出た後にすぐに焦点を結んでいるようにみえるし、何がなんだか分からなくなり、少し考えてみました。 まず、実体顕微鏡には2つの光学系を持ったグリノー式と1つの光学系を二つに分けたガリレオ式がありますが、とりあえず簡単に、対物レンズと接眼レンズだけを考えます。また、カメラレンズも複雑な組み合わせレンズですが、これも一つの凸レンズと絞りだけだと考えます。そうして作った光路図が次の図です。
顕微鏡で見た像をカメラで写すときには次のような過程を経ます。まず、試料から出た光を対物レンズで拡大し、大きな実像をつくります。その実像を接眼レンズで虚像として見るのですが、その虚像を今度はカメラレンズで結像面に実像として結ぶという原理になっています。接眼レンズは虚像をつくるのだから、レンズから出た光は広がりそうなのですが、実際には、試料上の一点から一定の角度範囲内に出た光は、二つの赤い線で示した間を通るために、試料上の各点を出た光は接眼レンズを出たところにあるFpにゆるく集光されます。つまり、カメラで撮影する光はこんな変な経路を通った光なのです。 この図から次のことが分かります。
以上の結果、コンデジでなくても広角系のレンズを取り付ければ、デジタル一眼レフでも十分に撮影できることが分かりました。このときの撮影のコツとしては、次のようなことが挙げられます。
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